モリゾーです。定年を数年後にひかえたシニア予備軍です。
以前、このブログで国土地理院の地図の利用手続が緩和されるという記事を書きましたが、その中で紹介した地理院地図という地図閲覧サービスが2020年3月5日にバージョンアップされました。
今回のバージョンアップによってユーザーインターフェースが大幅に改良され、分かりやすさと操作性がかなり向上したというのが実際に利用してみた感想です。

地理院地図が使い易くなったと言われても、もともと使ったことないし…。
そうですね、もともと地理院地図を知らない方々には全然ピンとこない話だと思います。
そこで今回は、地理院地図がどんなサービスなのかわかりやすく解説していきます。
目次
そもそも地理院地図とは?
地理院地図とは、国土地理院の地形図や写真などをWebブラウザで見ることができる、国土地理院が提供しているサービスです。

それならGoogleMapでもいいんじゃないの?
と、思われるかもしれませんが、地理院地図ではベースとなる地図(ベースマップ)の上に、国土地理院が整備している多種多様な地形図や写真を重ねて見られることを特徴としているサービスです。
この重ね合わせて表示する地形図や写真のことを地理院タイルと呼んでいます。
地理院タイルは、目的に応じて様々なデータが用意されています。
また利用用途ですが、GoogleMapが、お店や施設の情報なども調べたり目的地までの経路を調べたりと、どちらかというとグルメやエンタメ系という感じが強いですが、地理院地図はもうちょっとお堅く災害対策や教育・学術研究と言った用途をターゲットとしています。

ベースマップ? 地理院タイル? なんだか良くわからないな。
ベースマップとは?
地理院地図のベースとなる地図データをベースマップと呼んでいます。
以下の5種類の中から選択ができます。
地理院タイルとは?
地理院タイルとは、国土地理院が測量して作成した地図データのこと。
日本全土をタイル状に区分けして地図を作成しているため、地理院タイルと呼ばれています。
たとえば、こちらの画面をご覧ください。

この画面に表示されている地図は、下の模式図のように標準地図の上に地理院タイルを何層にも重ねて表示したものになります。

地理院タイルの種類は、以下の表のように目的や用途にごとに多種多様なデータが登録されています。
分類 | 地理院タイル |
---|---|
年代別の写真 | 年代別の10種類の空中写真データ ・2007年~ ・2004年~(簡易空中写真) ・国土画像情報(第四期:1988~1990年撮影) ・国土画像情報(第三期:1984~1986年撮影) ・国土画像情報(第二期:1979~1983年撮影) ・国土画像情報(第一期:1974~1978年撮影) ・空中写真(1961~1969年) ・空中写真(1945~1950年) ・空中写真(1936年頃) ・単写真 |
標高・土地の凹凸 | ・色別標高図 ・デジタル標高地形図 ・アナグリフ 陰影起伏図 ・陰影起伏図(全球版) ・傾斜量図 ・全国傾斜量区分図(雪崩関連) |
土地の成り立ち・土地利用 | ・活断層図(都市圏活断層図) ・治水地形分類図 更新版(2007~2014年) ・治水地形分類図 初版(1976~1678年) ・明治期の低湿地 宅地利用動向調査成果 ・全国植生指標データ(250m) ・土地被覆(GLCNMO) ・植生(樹木被覆率) |
基準点・地磁気・地殻変動 | ・基準点 ・磁気図2015.0年値 ・磁気図2010.0年値 |
災害伝承・避難場所 | ・指定緊急避難場所 ・自然災害伝承碑 |
近年の災害(地震) | ・地震 令和元年山形県沖の地震 ・平成30年北海道胆振東部地震 ・平成28年茨城県北部の地震 ・平成28年鳥取県中部の地震 ・平成28年熊本地震 ・東日本大震災 |
近年の災害(台風・豪雨等) | ・令和元年10月の低気圧に伴う大雨 ・令和元年台風第19号 ・令和元年8月の前線に伴う大雨 ・令和元年6月下旬からの大雨 ・平成30年7月豪雨 ・平成30年大分県中津市土砂災害 ・平成29年7月九州北部豪雨 ・平成28年台風第10号 ・平成28年台風第11号及び第9号 ・平成27年9月関東・東北豪雨 ・平成26年8月豪雨 ・平成26年台風第12号・第11号の大雨等(北川村) ・平成26年台風第8号及び梅雨前線等(南木曽町) ・平成25年台風第26号・第27号による大雨(大島町) ・平成25年9月2日に発生した突風 ・平成25年7月17日からの大雨 山口地方「須佐地区」 |
近年の災害(火山) | ・草津白根山の火山活動 ・伊豆大島の火山活動 ・三宅島の火山活動 ・御嶽山の噴火活動 ・口永良部島の火山活動 ・霧島山の噴火活動 ・西之島付近噴火活動 |
その他 | ・地理教育支援 |

地理院タイルっていっぱいあるんだね。難しい言葉ばかりで覚えられないよ。
ここでは、データの内容まで覚えなくても、このようにたくさんのデータがあるということだけ覚えておけば十分です。

じゃあ、地理院地図を使うとどんなことができるの?
それでは次に地理院地図を使うと、どんなことができるのか見ていきましょう。
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地理院地図の基本的な閲覧・利用方法
基本的な閲覧方法は、GoogleMapやその他の地図ソフトと同じでスクロールや拡大縮小によって地図データを操作します。
ここでは、まず初めに地理院地図の基本的な操作であるベースマップと地理院タイルの切り替え方法について説明します。
ベースマップや地理院タイルの切り替え
ベースマップと地理院タイルは、画面左側に表示されるパネルを使って切り替えます。

②表示したい地理院タイルを選択する
③表示されているベースマップと地理院タイルの一覧が表示される
出典:地理院地図
これを模式図で表わすとこんな感じになります。

②地理院タイルを選択すると、選択した順番に上に積み重なっていく
③表示されているベースマップと地理院タイルの積み重ねの状態が一覧で表示されている。またこの一覧でタイルの表示/非表示の切り替え、順番の入れ替え、透過率の変更などを行うことができる
出典:地理院地図
続いて、以下に挙げるような地理院地図ならではの便利な機能について紹介します。
- 表示されている地図の中心地の標高や緯度経度、住所などを確認
- 空中写真で現在と過去の街のようすを比較
- 指定した経路の断面図(高低差)を確認
- 指定した地点間の距離や領域の面積を確認
- 地図上に図形や文字を作図して印刷
- 表示されている地図を画像として保存

便利そうだけど、具体的にどうすればできるの?
それでは、それぞれの機能について、与えられたお題に沿って具体的な操作方法を詳しくみていきましょう。
表示されている地図の中心地の標高や緯度経度、住所などを確認
- 国土地理院のある場所の標高、緯度経度、住所を調べてみましょう。
1.つくば市の国土地理院を検索して、画面左下の矢印のアイコンをクリック

②画面左下の矢印のアイコンをクリックする
出典:地理院地図
2.1回クリックで地図の中心地の標高が表示される

出典:地理院地図
3.もう1回クリックで地図の中心地の住所や緯度経度、住所などの情報が表示される


山登りの時とかに使うと便利そうだね。
空中写真で現在と過去の街のようすを比較
- 東京都新宿区にある東京都庁の周りの様子を現在と過去で比較してどのくらい変化しているのか見てみましょう。
地理院地図が提供している比較ツールには、並べて比較と重ねて比較の2種類のツールがあります。
まずは、並べて比較ツールで現在と過去の写真を左右に並べて比較してみます。
【並べて比較】
1.東京都庁を検索して空中写真に切り替え

②左側のパネルから空中写真のアイコンをクリックする
出典:地理院地図
2.並べて表示ツールを選択

④サイドメニューが表示されるので、並べて表示ツールを選択する
出典:地理院地図
3.過去の写真を選択

⑥右側にパネルが表示されるので、年代別の写真をクリックする
出典:地理院地図

出典:地理院地図
4.左右の画面に現在と過去の空中写真が表示される

出典:地理院地図
それでは、次に重ねて比較ツールで現在と過去の写真を重ねて比較してみます。
【重ねて比較】
1.重ねて表示ツールを選択

出典:地理院地図
2.現在と過去の空中写真が重なって表示される

出典:地理院地図

面白いね。自分の住んでいる場所も昔どうだったのか調べてみたいな。
指定した経路の断面図(高低差)を確認
- 筑波山の断面図を見てみましょう。
1.断面図ツールを選択

②ツールアイコンをクリックする
③サイドメニューが表示されるので、断面図ツールを選択する
出典:地理院地図
2.始点とする位置を指定

出典:地理院地図
3.終点とする位置を指定

出典:地理院地図
4.始点と終点の区間の断面図が表示される


地図だと平面で分からないけど、この機能を使うと高低差が良くわかるね。
指定した地点間の距離や領域の面積を確認
- 猪苗代湖の周囲の距離と面積を計測してみましょう。
まずは、距離から計測してみましょう。
【距離を計測】
1.計測ツールを選択

②ツールアイコンをクリックする
③サイドメニューが表示されるので、計測ツールを選択する
出典:地理院地図
2.始点とする場所を指定

⑤始点にしたい場所でクリックする
出典:地理院地図
3.猪苗代湖の周囲に沿ってクリックを繰り返す

出典:地理院地図
4.最終点とする位置を指定

出典:地理院地図
5.計測パネルに猪苗代湖の周囲の距離が表示される

続いて、猪苗代湖の面積を計測してみましょう。
【面積を計測】
1.面積を選択して、猪苗代湖の周囲に沿ってクリックを繰り返す

②先程と同様に猪苗代湖の周囲に沿って、クリックを繰り返す
出典:地理院地図
2.最終点とする位置を指定

出典:地理院地図
3.計測パネルに猪苗代湖の面積が表示される


猪苗代湖って周囲が43キロで面積が105平方キロメートルもあるんだね。
地図上に図形や文字を作図して印刷
- 中禅寺湖の湖畔にある菖蒲が浜キャンプ場の場所を示す案内図を作成して印刷してみましょう。
1.作図・ファイルツールを選択

②ツールアイコンをクリックする
③サイドメニューが表示されるので、作図・ファイルツールを選択する
出典:地理院地図
2.作図機能を利用して地図上に図形やテキストを作図

出典:地理院地図
3.印刷アイコンをクリック

出典:地理院地図
4.プレビューを確認して印刷ボタンをクリックして印刷

出典:地理院地図

旅行に行くときの案内作成の時とかに使えそうだね。
表示されている地図を画像として保存
- 中禅寺湖の湖畔にある菖蒲が浜キャンプ場の周辺の地図を画像として保存してみましょう。
1.共有アイコンをクリック

②共有アイコンをクリックする
出典:地理院地図
2.画像として保存アイコンをクリック

出典:地理院地図
3.画像を保存ボタンをクリック

出典:地理院地図
4.ファイル名を入力して保存ボタンをクリック

出典:地理院地図
5.PNG形式で地図データが画像として保存される


便利だけど、保存した地図は自由に使っていいの?
保存した地図は、すべてが自由に使っていいわけではありません。
国土地理院の国土地理院の地図の利用手続のページに詳しく掲載されているので確認してください。
こちらの記事でも紹介していますのでご覧ください。
スマホ版地理院地図

普段スマホしか使わないけど、スマホでの使い勝手はどうなの?
今回のバージョンアップによって、地理院地図はスマホでも使い易くなりました。
基本的な操作方法はPC版と変わりないですが、スマホの小さな画面でも使い易いようにアイコンの配置などがアレンジされています。

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災害状況の把握

地理院地図では、近年の災害に関する情報を提供していると言ってたけど、どういった目的で提供しているの?
地理院地図では、以下の目的により近年の災害に関して国土地理院が収集した情報を提供しています。
- 現地の被災状況を心配されている国民の皆様への直接の情報提供
- 関係機関が行う今後の対応等についての検討
引用:
https://www.gsi.go.jp/BOUSAI/R1.taihuu19gou.html#17

具体的にどんな情報を提供しているの?
たとえば、昨年の台風に関する情報を見てみましょう。
令和元年(2019年)台風19号に関する情報(主要なものをピックアップ)

こうやって見ると、災害の状況と規模が良くわかるね。
地理院地図では、近年の災害状況の把握だけでなく災害への備えとして役に立ついろんな情報が掲載されています。
詳しくはこちらの国土地理院のホームページでご確認ください。
https://www.gsi.go.jp/bousai.html
まとめ
- 地理院地図とは、国土地理院の地形図や写真などをWebブラウザで見ることができる、国土地理院が提供しているサービス
- 地理院地図は、ベースとなる地図(ベースマップ)の上に、国土地理院が整備している多種多様な地形図や写真(地理院タイル)を重ねて見られることを特徴としているサービス
- 地理院地図は、災害対策や教育・学術研究と言った用途をターゲットとしている
- 2020年3月5日のバージョンアップでユーザーの操作性・利便性が大幅に向上
バージョンアップのポイントは、
・現在地の標高、緯度経度、住所を簡単に表示できる
・より直感的な操作性を提供
・パソコン版とスマートフォン版を用意
以上でバージョンアップされた地理院地図の紹介は終わりですが、皆さんの役に立ったでしょうか?

うん。よくわかりました。さっそく今日から使ってみよっと。
是非皆さんも地理院地図のサービスを活用してみてください。
それではまた別の記事でお会いしましょう。